コラムColumn
税金のお話し
2017年12月5日
みなさんこんにちは。
年末になりますと、税金にまつわるご相談が増えてきます。
今回はよくあるご質問に対して、
いくつかお答えしたいと思います。
まずは国内外の不動産についてです。
やはり多いのは、経費として計上できる金額の
範囲とその計算方法に関するご質問です。
お持ちの不動産から家賃が入る場合、
不動産所得として総合課税の対象になりますが、
もらった家賃がまるまる不動産所得になるわけではなく、
所定の経費を家賃から控除することができます。
計上できる経費のうち一番大きなものは減価償却費です。
減価償却費は、不動産のうち建物の劣化分を、
経費と考えて計上できる費目のことですが、
建物の価値に法律で決められた比率(「償却率」)をかけることによって、
その年に計上できる減価償却費を計算します。
たとえばお持ちの物件が
- 購入価格2200万円(うち建物部分は800万円/注1)
- 築年数 20年
注1)物件の購入価格のうち建物部分の価格については、
購入した不動産会社に確認してくだい
とすれば、計上できる減価償却費は以下の方法で計算できます。
□残存耐用年数の計算
47年-(築年数×0.8)=47-(20×0.8)=31年
□減価償却費の計算
800万円×0.033(注2)≒26万円
注2)耐用年数の残存期間が31年の場合の償却率は、このように0.33と
決められています。「償却率の一覧表」をみれば、
残存耐用年数に応じた償却率を確認することができます。
したがってこの26万円を、不動産投資の経費として
家賃から差し引くことができるわけです、これは結構大きな
金額といえるでしょう。
他に大きなところでは、借入金の利息です。
物件を全額手出しの資金で購入された場合は、
利息は発生しませんが、融資を受うけて購入した場合、
原則としてその利息部分を経費として計上することができます。
他にも計上可能な経費はあります。
比較的大きなところでは、
- 物件の登記に関する費用(登録免許税)
- 不動産取得税
など初年度のみ発生する費用があります。
ほかにも毎年発生する固定資産税や各種保険など経費として計上できますし、
細かいところでは年に一度の総会に参加するための交通費、PCで物件の
収支や納税額などを管理されるなら、管理ソフトの購入費や書籍代などです。
あと物件の管理を専門会社に委託する場合、
その賃貸管理費も経費にできますし、建物管理に関する費用として、
管理費や修繕積立金、あるいは補修箇所が発生した場合の持ちだし
なども(多くの場合)経費として計上可能です。
もちろん計上できる経費が大きければ大きいほど、
納税額は少なくて済みます。
税理士さんにお任せせず、独学で申告をされる場合、
上記のような点に留意しておすすめください。
あとこの時期は海外ファンドに関するご質問もよくいただきます。
例えば以下のようなケースです。
□ファンドの購入時
- 10,000ドルで購入
- その時点のドル円レートは1ドル=80円
□ファンドの売却時
- 8000ドルで売却
- その時点のドル円レートは1ドル=120円
上記の例ですと、購入時に支払ったお金は日本円で80万円です。
注)10,000ドル×80円=80万円
一方で売却時の価値を円換算すれば96万円です。
注)8,000ドル×120円=96万円
したがって円建てでみれば16万円の利益ですが、
ドル建てで見るとマイナス2000ドルです。
このようにドルベースでみればマイナスで、
円ベースでみればプラスになるケースの場合、
どう考えればよいのでしょう。
ドルベースでソンしているから、そのままドルに
おいておけば儲けは発生せず、したがって課税されないと
お考えの方がいますが、そのようなことはありません。
たとえ戻ってきたお金をドルでそのまま持っていても、
換算した円ベースでもうけが出ていれば申告・納税しなくては
なりません。
なお当該儲けに対する税率は、
一般的には20%の分離課税が適用されます。
あと海外ファンドの売却に関して、売ったお金を
国内に戻さなければ課税されないとお考えの方もいますが、
これも誤解です。
売ったお金をどこで受け取ろうが関係ありません、
ファンドを売った時点の円換算額が、購入時より増えていたら、
(お金をどこに置いていても)日本の税務署に
申告・納税しなくてはなりません。
字数の都合で多くは紹介できませんでしたが、
このようなことを知っているのと知らないのでは
大違いです。
皆さんにはこのようなことにご留意のうえ、
年内できることをおすすめいただければと思います。
では今回はこのへんで。
ご相談のお申込み、または無料お試し相談はこちら